2019/07/22 00:00



チョコレートの原料になるカカオにはいくつかの品種があります。

「コシヒカリ」や「あきたこまち」など、お米にも品種があるのと同じようににカカオにも品種があるのです。

もちろん、品種の違いにより味や香りの特徴がことなります。

そのため、それぞれの特徴を活かして、異なる品種の豆をブレンドしてチョコレートを作ることもあります。

 カカオの品種の違いによる特徴を知ることで、チョコレートを購入する際に役立つと思うので、

ここでは代表的なカカオの品種とその特徴をご紹介させて頂きます。

 

 


カカオの代表的な品種

 

カカオの代表的な品種として、「クリオロ種」、「フォラステロ種」、「トリニタリオ種」の3つがあります。

それぞれ、味や香りがことなります。もちろん品種だけでなく、生産地やチョコレートを作る際の発酵の方法により

味が変わってきますが、品種の違いによってもそれぞれの異なる特徴がみられます。

 

「クリオロ種」とは?

 

カカオの品種の中で最も希少と言われるのがクリオロ種です。全世界で栽培されているカカオの0.5%程度しかないといわれています。

なぜ栽培量が少ないかというと、病気やに対する抵抗力が非常に弱いからです。要は病気にかかりやすいということです。

カカオも植物であり、病気にかかると枯れてしまいます。枯れてしまうとカカオが収穫できなくなり、

それを栽培している生産者の収入がなくなります。

そうなると、カカオ生産者は生活が出来なくなるため、限られた生産者のみが栽培することとなります。

このような背景から、クリオロ種は希少なカカオといわれているのです。

なお、適切な環境で育ててあげる必要があるため、その分他の品種より希少で値段も高くなる傾向にあります。

 

クリオロの特徴は?

 

スペイン語で「クリオロ」とは「自国のもの」、「その地域で生まれたもの」という意味を持ちます。

カカオ豆を初めてヨーロッパに輸出した際、そのカカオを「クリオロ(自国のもの)」と呼んだことが始まりであると一説ではいわれています。

 

クリオロ種は、とにかく古くから存在する品種であり、原産地は南米(アマゾン川流域地帯)といわれます。

しかし、歴史的にはメソアメリカと呼ばれる中米で栽培されていた記録が残っているため、原産地は中米とされることもあります。

また、アステカ(メキシコ中央に栄えたメソアメリカの文明国家)の皇帝であるモンテスマがクリオロ種のチョコレートを

飲んでいたといわれることも、中米原産説を後押しする材料となっています。

 

なお、クリオロ種は古くから存在する種類であることから、中世ヨーロッパで広く普及したカカオは

このクリオロ種であったのではないかとされています。

 

現在のクリオロ種の栽培地域は、メキシコやベネズエラなどの限られた地域となっております。

豆の形は細長く、わりとふっくらしており、焙煎される前の生豆の色は白や黄紫色をしています。

香りは独特の香りを持ち、チョコレートの香りをよくするフレーバービーンとしてよく使われます。

チョコレートのベースやブレンドする際に使用されるカカオを「ベースビーン」と呼び、

カカオの香りを複雑にしたり風味を加えるために使用するカカオを「フレーバービーン」と呼びます。

このようにカカオの果たす役割によってベースビーン、フレーバービーンと分けて呼ばれることがあります。

 

「フォラステロ種」とは?

 

世界で収穫されるカカオの80%から90%がフォラステロ種だと言われています。

成長のスピードが早く、病気や害虫への抵抗力が強いため、クリオロ種に比べると非常に育てやすいのが特徴です。

病気にならないということは、カカオの生産者側からすると安定的に生産することが可能となり、

安定した収入が入ってくることになります。

安定した収入が入ってくることは生産者側からしたら非常にありがたいことであることから、

生活がかかっている生産者はフォラステロ種を多く栽培する傾向にあるのです。

また、カカオを購入する側からしても、フォラステロ種の方が安価に手に入ることから

フォラステロ種をベースビーンとして採用し、フレーバービーンで香りをつけるという方法が良く使われたりします。

チョコレート産業を支えているのはベースビーンとして使いやすいフォラステロ種ともいわれます。

 

 

フォラステロ種の特徴は?

 

味は苦みや渋み、カカオ感が強くチョコレートらしいチョコレートとなります。

香りは刺激的で、フレーバービーンとして使用されることが多い、クリオロ種やナショナル種(アリバ種)、

トリニタリオ種に比べると複雑な香りが感じられず、単調な香りといわれます。

栽培地は非常に広く、ブラジルや西アフリカ、ベトナムなど非常に幅広い地域で栽培されています。

焙煎される前の生豆は、小粒で丸みを帯びており、色は濃い紫色をしています。

 

フォラステロとは、スペイン語で「よそ者」、「よその土地の者」という意味を持ち、

その原産地はアマゾン川流域地帯、ベネズエラのオリノコ川流域などです。

 

また、このフォラステロ種の派生種として「ナショナル種(アリバ種)」といわれる、

エクアドルでしか育たない固有種があります。ナショナル種も貴重なカカオの品種であり、

特徴的な味や香りを持つことからフレーバービーンとして使用されます。

 

「トリニタリオ種」とは?

 

クリオロ種とフォラステロ種が自然交配で出来上がった種類が、トリニタリオ種です。

トリニタリオ種の名前の由来は、カリブ海のトリニダード島で誕生したことがその名前の由来となります

トリニタリオ種の特徴は、ちょうどクリオロ種とフォラステロ種の中間をとったような特徴をもつといわれます。

病気にも割と強く、品質も良いことから生産者側からすると育てやすい品種となります。生産量は全世界の15%程度となります。

 

トリニタリオ種の特徴

 

主な栽培地域は、中米やスリランカ、パプアニューギニアなどです。豆の形はクリオロ種とフォラステロ種の

中間的な特徴を持ち、味や香りも様々なバリュエーションを持ちます。

カカオが栽培される土壌や天候、標高などで味や香りが変化するため、

目立った特徴が出てきにくいのがトリニタリオ種の特徴です。

 


まとめ


ü  カカオの品種は主に「クリオロ種」「フォラステロ種」「トリニタリオ種」の3種類に分けられる。

ü  クリオロ種は希少価値が高く、全世界の生産量の0.5%程度。逆に全世界の生産量の80%から90%を誇る品種がフォラステロ種。

ü  トリニタリオ種はクリオロ種とフォラステロ種の自然交配で出来上がった品種であり、全政界の生産量の15%程度。

ü  クリオロ種やナショナル種(アリバ種)、トリニタリオ種は、味や香りが複雑であることからフレーバービーンとして使用されることがある。

ü  クリオロ種はチョコレートらしいチョコレートの特徴を持つことから、主にベースビーンとして使用される。

ü  フレーバービーンとはチョコレートに独特の風味や香りを与えるために使用され、ベースビーンはチョコレートのベースとして使用されることが多い。

ü  生産地を見ればおおよそのカカオの種類が分かり、希少性の高いカカオが使用されているかがわかる。

ü  生産者は病気に強く育てやすいフォラステロ種を多く栽培する傾向にある。

ü  一方で、品質や味という観点で考えると、クリオロ種やナショナル種(アリバ種)、トリニタリオ種が優れた特徴を持つ。

 

 パッケージやポップも大事ですが、生産地や品種を確認してチョコレートを選ぶのも面白かもしれません。

是非、参考にしてみてください。